ログハウスの寿命を伸ばす建て方
ログハウスは実際どう建てられるのか?
ログハウスの建て方を概略まとめました。
ログハウスが建てられていく様子を見ると、
ログハウスってどういう家なのかが実感を持って分かると思います。
ログハウスは奈良の正倉院の様に寿命がとても長いです。
ログハウスを建てる時、寿命を伸ばす建て方をすれば、二代、三代と受け継ぐことができるでしょう。
寿命を伸ばす建て方のポイントは一見、相反する様に思える2つです。
- メンテナンスしないで済む様に建てる
- メンテナンスし易い様に建てる
下記に具体的にログハウスの寿命をのばす建て方をまとめてみました。
ログハウスの建て方とログハウスの寿命をのばすポイント
ログハウスを建てる前に樹木の伐採
森の中のログハウスって甘美な響きがあります。
実際、森の中に建てる場合もあるでしょうし、別荘地の場合、敷地に樹木があるケースもあるでしょう。
ログハウスを建てるのに邪魔にならない様、樹木を伐採する事になります。
でも、森の中のログハウスのイメージの様に、木立に囲まれる様にログハウスを建てたくなります。
それがログハウスの寿命を短くする原因になります。
どの建物も屋根に落ち葉が積もると雨水の排水に支障を来たし、ログを腐らせる原因になります。
ログハウスの屋根に落ち葉が落ちない様、樹木は伐採する必要があります。
ログハウスを建てる土地の造成
区画整理された平坦な分譲住宅地ならいいのでしょうが、ログハウスは傾斜地に建てられる場合も多いです。
土を掘ったり、土砂を入れたりの土地の造成が結構なポイントになります。
往々にして建築業者に任せっきりで無関心な人もいますが、どう土地を造成するのか確認した方が良いです。
ポイントは下記の2つになるでしょう。
- 水はけ
- 土砂の流出、流入
ログハウスの回りに水たまりが出来ると湿気が上がってきてログに良くありません。
その為、大雨が降っても雨水が敷地の外に出ていってくれる様にしたいものです。
また、逆に隣の土地や道路から土砂が敷地内に流入してくると水たまりが出来てしまう事にもなります。
それ故、敷地の回りを囲む様に、見切りを入れる等して、土砂が流出したり、流入したりしない様、チェックしたいものです。
ログハウスを支える地中梁を入れる
ログハウスは地震に強いと言われていますが、地盤が弱くなれば傾いてしまいます。
それで硬い地層にまで地中梁を入れます。
地面に穴を掘りコンクリートを流し込み地中梁を作ります。
ログハウスの場合、家が重いので、この地中梁は1本、2本ではありません。
しっかり入れます。
工務店によっては、この地中梁を割愛する所もある様ですが、安心して住む為に地中梁を入れて置きたいものです。
ログハウスの土台となる基礎工事
ログハウスの工務店によっては、簡単な布基礎にしてしまう所もある様ですが、ログハウスは重いので頑丈なベタ基礎が良いです。
ベタ基礎はその物自体がコンクリートの部屋の様になります。
床にコンクリートをうつので地面から湿気が上がって来にくくなり、ログにとって大変良いです。
人によってはこのベタ基礎部分を物置にしたり、部屋みたいに使っているなんていう事もある様です。
一般住宅化したログハウスの場合、家自体を軽くしようとするので、基礎部分もコストをかけずに、簡単に済まそうという傾向がある様です。
それは良くないと私は思います。
ログハウスの寿命の長くするには、基礎は高くして頑丈に作りたいものです。
ログ資材の搬入
大きなトレーラーでログ資材はやってきます。
トレーラーから資材を出し置いておく場所が本当は必要なのです。
ログは製造された後、一旦組まれます。
そして番号が付けられます。その番号が建築の時にとても重要になるわけです。
番号のついたログ資材を探し出し、組んでいくには、資材を広げる必要があります。
かなりの量です。
ログハウスを建築する土地に、そんなことをする余裕があればいいのですが、必ずしもそうではありません。
ミスを犯し難い様に広々ログ資材を広げられる場所を探さなければなりません。
それがちょっと大変です。
この後のログの組み付け、上棟、屋根工事までは効率よく進捗していきます。
この短期間は雨季を避けたいです。ログ資材が痛むからです。
つまり、ログ資材をトレーラーから出した日から屋根が出来るまでは、梅雨・台風の季節を避けたいものです。
ログの組み上げ
ログの組み上げにはクレーン車が必要になります。
建築予定地にクレーン車が入る道が必要です。
ログハウスは狭い所には建て難いのは建築するのにスペースが必要だからです。
意外とログの組み上げは短時間で捗ります。
どんどんログハウスはその形が出来上がってきます。
ログを作る時に一旦、組み上げているので、作業し易いからだと思います。
見ていて面白いです。ログハウス建築の醍醐味ですね。
一階部分が組み上がると、棟木や屋根の垂木などが、上にのせられる様になります。
そして、いよいよ屋根工事に入ります。
屋根工事
セルフビルドする場合は、ロフト(2階)部分の壁を作ってから棟上げすることもある見たいですが、上棟は出来るだけ早くやってもらう方が良いです。
まず、二階部分に柱を建て母屋、棟を上げていきます。
上棟した後、屋根は速度を増して作られていきます。
母屋と棟、直角にかけられる垂木が屋根を守る一番の構造材と言っていいでしょう。
垂木の大きさや厚みは勿論、数もログハウスの寿命に関わる重要なポイントです。
垂木の次に重要なのは母屋だと私は思います。
母屋は棟とログ壁の間にあって垂木を支える構造材です。母屋がない住宅用のログハウスはやはり今一つでしょうね。
下地材が敷かれると屋根らしくなります。この上に防水シートが載せられます。
その次は屋根に葺く材です。
ログハウスの寿命を伸ばすには屋根は瓦にすべきです。
どの家でも屋根から悪くなるケースが多いです。
実際、屋根のメンテナンスは費用がかかるのでなかなか出来ません。それ故、塗装のメンテナンスが必要ない瓦だとログハウスの寿命を伸ばしてくれるでしょう。
瓦は釘やビスで打ち付けると台風や地震で崩れることがありません。
屋根の長持ちがログハウスの寿命に大きく影響するでしょう。
外壁塗装
ログハウスはログ壁でない箇所も大概は木材が使われます。
木材を長持ちさせるには、塗装はとても重要です。
下記の2つから木材を守る為に塗装は行うと言われています。
- 木材腐朽菌
- 紫外線
防腐剤を木材に塗布する事により、木材を腐朽菌から守ろうと塗装をします。
有効な防腐剤は化学物質で自然界には存在しないものです。
私たち人間にとっても有害である劇薬程、腐朽菌にも効果があると言われています。
ログハウスの寿命を伸ばしたいのであれば、きつい防腐剤程良いという事になります。
しかし、今では環境基準など厳しくなり、劇薬の塗料は姿を消した様です。
その中で出来るだけ効果のある塗料を選ぶと必然的に塗料は決まって来るみたいですね。
ログハウスを塗装する時に、出来るだけ木の色を損なわない様に塗装したいと思う人がは少なくないと思います。
色の薄い塗料を好むという事ですね。
しかし、紫外線対策という意味では、濃い色のペンキの方が効果があります。
でも、赤とか青とかのログハウスって日本ではあまり好まれないのですよね。
本当は濃いペンキ程、紫外線からログや木材を守ってくれるので、寿命を伸ばしてくれるのですが ・・・
特に高い所は、メンテナンスし難いです。
高い所ほど、濃い色の方が本当は良いです。
内装工事
ログハウスは内装に時間がかかります。
床も天井も無垢の木を敷き詰めていく細かい作業だけ見てもそれは分かると思います。
内装工事で構造上注意しなければならないのは階段です。
一階とロフト(二階)をつなぐ階段はログハウスでは微妙な存在になります。
ログハウスはセトリングにより、年々高さが下に沈んでいきます。
それに合わせて階段の傾斜も対応しなければなりません。
湿気がこもり易い、キッチン、風呂、トイレ、洗面所などは要注意です。
特に風呂の出入り口近辺は水に濡れる事がしばしばです。
場合によっては木材以外の湿気に強い素材を使ってはどうでしょうか?
ログハウスは家の中は木だらけなので、洗面所も木製の据え置きを使いたくなります。
しかし、常に塗れている状態になり易い、洗面所は木製だと腐りやすいです。
市販の洗面台の方が長持ちすると思います。
また、内装工事中に確認しておきたいのは、配線箇所です。
一階とロフト(二階)は、電気線、電話線、LANケーブルなどがどこを経由してつながっているのか確認すると良いと思います。
後で、電話機を一階から二階に移動するなんていう時に、配線経路が分かっていると、無駄に穴をあけたりしたくて済みます。
デッキ工事
屋根のかかったデッキがあると、屋根がデッキの分、深くなります。
ログ壁を覆うので、雨に濡れなくなり、紫外線にも当たり難くなりますね。
ログの寿命は延びるでしょう。
だからデッキは深ければ深い程良いことになります。
デッキは狭いと使い難いですが、広いと作業をするにも、寛ぐのにも便利なスペースになります。
ところが、屋根がかかっていないデッキがログハウスの寿命を短くする場合があります。
デッキの床がログに近いと雨水を跳ね上げログを濡らしてしまうからです。かえってデッキがない方がログが濡れないで済むならばデッキは作らない方が良いでしょう。
また、デッキの外側の手すり等、雨にかかり易い所は、ログよりも、防腐処理した材の方が耐久性があります。
ログハウスの中でどうしても雨水にかかり易い箇所は、出来るだけ防腐処理した木材にしておきたいものです。